アガサ・クリスティー『葬儀を終えて』

 

 

クリスティー中期の傑作。

名家の当主の死をめぐる大胆不敵な犯罪にポアロが挑む。

 

登場人物

 

リチャード・アバネシー アバネシー家の主人 68歳没

ヘレン・アバネシー リチャードの義妹

ティモシー・アバネシー リチャードの弟

モード・アバネシー ティモシーの妻

コーラ・ランスケネ リチャードの末妹

ジョージ・クロスフィールド リチャードの甥

スーザン・バンクス リチャードの姪

グレゴリー・バンクス スーザンの夫 薬剤師

ロザムンド・シェーン リチャードの姪 女優

マイクル・シェーン ロザムンドの夫 俳優

 

ランズコム アバネシー家の老執事

エントウィッスル 弁護士 リチャードの遺言執行者 姉と二人暮らし

ギルクリスト コーラの家政婦

モートン 警部

 

エルキュール・ポアロ 私立探偵

第一章

 

1.
◆アバネシー家の長男リチャードの葬儀で、親類縁者らは出払っている。
60年前、アバネシー家は薬品や医療器具の開発で財を成した。リチャードの遺産も莫大なもの。

 

◆ランズコム氏の人物評:
リチャード:良い主人で、弟や妹たちの父親代わりだった。
コーラ:でっぷり太って昔の面影は無し。ただ一人、ランズコムのことを憶えている。
ヘレン:本物のレディ。

 

2.
参列者たちがエンダビー・ホールへと戻ってくる。

 

◆使用人たち
マージョリイ:料理人。27歳
ジャネット:家政婦 59歳(14章)
ミセス・ジャックス:忙しいときだけ手伝いに来る近所のおかみさん

 

◆エントウィッスル氏の人物評:
ランズコム:だいぶよぼついてきた。もう90近いのでは。忠実な旧式の奉公人。
ヘレン:とても魅力的な女性。年齢は51、2くらいか。
モード:まだよく知らない。大柄で実際的で有能そう。献身的な妻。
ティモシー:わりに裕福。本当に体が悪いのだろうか? 自分の病気に夢中。
ジョージ:男っぷりは悪くないが、何となくずる賢い感じ。金回りはよくない。
ロザムンド:本当の美人。少し頭が足りなそう。
マイクル:なかなかの美男。鼻持ちならない。
スーザン:ロザムンドより舞台向き。個性がある。
グレゴリー:落ち着きのない様子。妻の親類の前で緊張しているのではないか。
コーラ:皆にとって迷惑な存在。不器用で、余計なことを言ってしまう癖がある。
あまり魅力が無い。兄の死を悼(いた)むふりすらしない。
子供のころから“ふりをする”ということを絶対にしない人間。

 

※ロザムンドは孔雀石のテーブルの上の蝋製の造花を眺めている。

※エントウィッスル氏は職業への偏見があり、役者や店員を立派な仕事だと認めていない。

 

◆リチャードはピエール・ランスケネを信用できず、コーラの結婚に反対していた。
結婚後は、ランスケネ夫妻に毎月かなりの金を与え、夫妻はそれだけを頼りに生活していた。

第二章

 

◆食事の後、ランズコムが一同を書斎に案内(遺言発表のため)。

 

◆遺言状の内容:
・あちこちの慈善事業に多少の寄付。
・ランズコムに終身年金。
・上記の残りを均等に六分割。そのうち四つはティモシー、ジョージ、スーザン、ロザムンド。
残りの二つは信託に回され、その分配金をヘレンとコーラに終身払い。
二人が死亡した場合、その元金が先の四人ないしその後継者に等分。
・コーラの遺産による収入は年間3000ポンドから4000ポンドぐらい。

 

◆リチャードはヘレンを気に入っていた。

 

◆コーラが「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」と言い、一同は呆れる。

第三章

 

1.
帰りの汽車の一等席で、エントウィッスルがコーラについて考える。
小鳥のように首を少しかしげるコーラの癖、メイドのモリーが妊娠したエピソード、
リチャードの死の詳細について等。リチャードは生前、甥や姪などの親類を家に招待したり、
ティモシーのもとを何度か訪ねたりして後継者を吟味したが、然るべき人物はいなかった。
(リチャードはコーラには接触を持たなかった)
エントウィッスルはコーラに会って、件の発言の真意を聞きたくなる。
 
2.
同じ汽車の三等席、バンクス夫妻、シェーン夫妻とジョージがコーラについて話す。
みな暮らし向きはあまり良くない。スーザンは、グレゴリーが彼女のことをあまり
愛していないことを薄々感じている。
 
3.
エンダビー・ホールに泊まるモードが、ティモシーの機嫌や薬について考える。
 
4.
ヘレンはエンダビー・ホールで、屋敷やコーラのことを考える。
遺産相続の説明の場において、何かしら違和感がある。

 

※コーラは造花を置いた孔雀石のテーブルのそばに座っていた。

 

5.
スインドンの駅の食堂。喪服の女性が葬儀のことや未来のことを考えたのち、
ローカル線の小さな汽車に乗り込む。

第四章

 

1.
夕方、エントウィッスルに弁護士事務所の共同経営者から電話があり、コーラが殺されたことを
知らされる。第一発見者のギルクリストが、警察に連絡先としてエントウィッスルの事務所を教えた。
犯行推定時刻は午後2時から4時半までの間。ギルクリストが図書館から5時ごろに帰宅し死体を発見。

 

2.
モートン警部がエントウィッスルに事情聴取
・コーラ宅への侵入者は装身具をいくつか持ち去ったが、被害額はせいぜい10ポンド程度。
・コーラは手斧で滅多打ちにされていたが、彼女が抵抗した形跡は無い。
・宝石箱からアクセサリーがいくつか持ち出されたが、それらは家のすぐそばの草むらに捨ててあった。
・エントウィッスルは早急にギルクリストに会うことを決意。

 

3.
◆ギルクリストは白髪交じりの髪を短く刈った、貧相で色あせた感じの女。

はっきりしない顔立ち。コーラと暮らし始めて三年半。父は無名の絵描き。
戦時中に「柳荘」という喫茶室をやっていたが、やがて閉店し、父の遺産を使い果たしてしまった。
・コーラ宅の居間には強い油絵具の匂いが漂っている。

 

※roughには「スケッチ」「下書き」の意味もある。

 

◆ギルクリストのコーラ評
・絵が趣味で、オークションで安い絵を買っていた
・子供みたいで、思ったことをすぐ口に出してしまう
・勘所を上手く押さえる鋭敏なところがある

 

◆ギルクリストはモートン警部から近所の家に泊まるよう勧められたが断った。

 

◆前日のコーラの様子についてのギルクリストの証言:
・ティモシーに会えなくて残念がっていた一方、モードのことを良く思っていない。
・翌朝、気分が優れず顔色が良くなかった
・三週間ほど前に、リチャードがコーラの家を訪ねてきた。

 

◆コーラは遺言状を遺しており、銀行に保管されている
コーラが描いた数々のスケッチをギルクリストが貰い受けることに。

第五章

 

1.
エントウィッスルの留守中にティモシーから電話。夕方、今度はモードが電話をかけてくる。
コーラの遺産執行人にティモシーが指定されており、エントウィッスルが翌日、
遺産に関する手続きでティモシー宅に伺うことを約束。
コーラの遺言:自作のスケッチとアメジストのブローチをギルクリストに遺贈し、
残りの財産は全てスーザンに。

 

2.
エントウィッスルがジョージ宅を訪ねる。ジョージは投資の失敗で金に困っている。

 

3.
エントウィッスルがシェーン夫妻を訪ねる。

 

4.
エントウィッスルがバンクス夫妻を訪ねる。
・夫妻は結婚して半年。
・エントウィッスルがリジー・ボーデンの歌を口ずさむ。
(リジー・ボーデン事件は1892年。本作は1953年発表)
・スーザンがコーラの遺した絵を見に行くことを決める。
・スーザンの父が財産を使い果たしたため、夫妻は金に困っている
・コーラの葬儀の翌日、エントウィッスルはスーザンに何度も電話をかけたが彼女は出なかった。
(7章で、何度も電話をかけたのが嘘であることをエントウィッスルがポアロに告白)
だが夫妻は一日中家にいたと証言。

第六章

 

1.
エントウィッスルがティモシー夫妻を訪ねる。
ベイハム・コムトン駅に着いたエントウィッスルをモードがおんぼろ車で出迎え。

 

2.
・コーラの遺産が自分に入らないことを知ってティモシーが怒る。
夫妻の暮らし向きはあまり良いとは言えず、リチャードの死に助けられた面もある。
・帰宅したエントウィッスルが、ある友人に電話をかける。

第七章

 

◆エントウィッスルがポアロ宅を訪ね、事件の詳細を説明し、探偵調査を依頼する。

 

◆コーラが殺害された当時の各人のアリバイの整理
ジョージ:ハースト・パークの競馬場にいた(エントウィッスルはそれを疑っている)
ロザムンド:ロンドンで買い物
マイクル:芝居に関する交渉をしていた
バンクス夫妻:一日中家にいた
ティモシー:在宅
モード:車でエンダビーからヨークシャーに帰る途中
ヘレン:使用人らとともにエンダビーにいた

 

ポアロがエントウィッスルに、リチャードの主治医を訪ねて、リチャードの死の詳細を
確認するよう指示。

第八章

 

1.
エントウィッスルがララバイ医師に、リチャードが本当に病死であったかどうかを尋ねる。

 

2.
エントウィッスルがエンダビー・ホールを訪れ、リチャードについてランズコムに尋ねる。
リチャードは生前にジョージ、グレゴリー、マイクルに会ったが、三人に対して
失望しているようだった

 

※リチャードは俳優という職業を良く思っていなかった。

 

3.
エントウィッスルがヘレンに、ポアロに事件の調査を依頼したことを告げる。
ヘレンがリチャードの葬儀の日に漠然と感じた違和感のことをエントウィッスルに話す。

第九章

 

◆スーザンがコーラの家を訪ねてくる。
・ギルクリストの証言:スーザンが来る30分ほど前に寄付金集めの修道女が来た。
・ギルクリストがコーラの遺品のティーテーブルを所望し、スーザンが承諾。
・スーザンはコーラの部屋に泊まる
・ギルクリストの証言:コーラはいつも自然そのものを写生していた

 

◆村の公会堂で検死審問。スーザン、ギルクリスト、エントウィッスルが参加。
眠剤を飲んでいたコーラに抵抗の形跡は無く、意識不明のまま死亡したと推定される。
終了後、三人はエントウィッスルが昼食の場所として予約していたキングズ・アームズへ。

 

◆エントウィッスル曰く、モードが階段から落ちて足首を挫いたとのこと。

 

◆コーラの古い友人で絵画批評家のアレクサンダー・ガスリーが訪ねてくる。
ガスリーを見送ったギルクリストが、郵便受けに入っていたウェディングケーキを持って
戻ってくる。ケーキの差出人は「ジョンとメリー」。

第十章

 

◆スーザンが車をキングズ・アームズの駐車場に停めに行った際、居合わせたボーイが
彼女のことを知っており、さらに「どこかで見たことがある」と言ってくる。

 

◆ギルクリストが贈り物のケーキを食べる。スーザンにも勧めるが彼女は遠慮する。
ギルクリストの証言:リチャードは自分の病気を誰かの謀略だと疑っていた。

 

◆ギルクリストがスーザンに、新しい職場への推薦状を書いてもらうことと、
推薦状の中で事件のことについて触れないように頼む。

 

◆コーラ宅でグレゴリーからスーザンに電話。

 

◆スーザンがティモシーに電話で頼んで、ギルクリストはティモシー宅に雇われることに。

 第十一章

 

1.
ギルクリストの部屋からうめき声が聞こえ、スーザンが部屋に入ると、ギルクリストがベッドの上で
苦しんでいる。スーザンが医者を呼び、ギルクリストは救急車で病院へ。

 

2.
◆コーラの葬式。親類や知人の参列者はエントウィッスルとスーザンのみ。

 

◆医者の報告で、ギルクリストが何者かに毒(砒素)を盛られたことが明らかになり、
台所に残っていたウェディング・ケーキの箱を医者が預かる。

 

◆スーザンがコーラの遺品整理をする。前髪用の部分かつらが二つ。
リチャードがコーラに宛てた手紙を見つけたとき、ジョージが部屋に入ってくる。

 

3.
モートン警部がスーザンに会いに来る。
・郵便配達人はウェディング・ケーキを配達した覚えはないと証言。
モートン警部がギルクリストのベッドの枕の下に潰れたケーキを発見。

 

※「ウェディング・ケーキを枕の下に敷いて寝ると、未来の夫の夢を見る」という古い迷信がある。

 第十二章

 

ポアロの依頼で、コーラ殺害時のアリバイ調査をした情報提供者ゴビイの報告:
ジョージ:競馬場にいたというのはほぼ嘘と見ていい。
マイクル:芝居に交渉には行っていない。代わりにレンタルカーでどこかに出かけた。
ロザムンド:買い物で色々な店に寄ったが、結局何も買わなかった。
スーザン:昼に数時間、車でどこかに出かけた。
グレッグ:仕事には行っておらず、どこで何をしていたのかはわからない。
グレッグは以前、不快な顧客に致死量の薬を調合してしまい、精神病院に入ったことがある。
ティモシー:朝9時半から翌朝まで一人で家にいた
モード:走行中に故障した車の修理でキャスストーン村の宿に滞在。
昼頃に散歩に出かけ、夜遅くに宿に戻った。
ヘレン:必要な衣類その他を取りにエンダビーを出てロンドンの自宅へ。

 

※ゴビイは数百人の調査員を擁する、富裕層向けの探偵社の代表
※『エッジウェア卿の死』への言及あり。

第十三章

 

 モートン警部がポアロ宅を訪れ、事件について二人で話し合う。
ポアロは難民救助団体UNARCOの職員ムッシュー・ポンタリエになりすまして

アバネシーの親族に会うことにする。

 

※UNARCO 国際連合難民救済機構
United Nations Aid for Refugee Centre Organization

第十四章

 

ポアロが使用人らに事情聴取。
ランズコムの証言:リチャードが亡くなる前日、牧師、修道女、物売りの若者がエンダビーを訪問。

 

◆誰にも見つからずにリチャードの部屋に容易に入れることをポアロが確かめる。

 

ポアロがヘレンを事情聴取。リチャードやコーラ、そしてリチャードの葬儀の日に
ヘレンが感じた違和感について。
ポアロとの会話中、応接間の孔雀石のテーブルの上にある造花をヘレンが落とし、
ガラスの覆いが割れてしまう。
ポアロはエンダビーに親類一同が集まることを望み、ヘレンは協力を申し出る。

第十五章

 

1.
◆ティモシーは世話好きなギルクリストに辟易している。
・ジョーンズの証言:ティモシーは本当は歩ける。

 

◆修道女が寄付を集めに来たとギルクリストが報告するが、モードが断るように指示。

 

◆ヘレンやエントウィッスルの提案に沿って、ティモシーはエンダビーに行くことを決める。

 

2.
ギルクリストが、ティモシー邸に一人で留守番することを嫌がる。

第十六章

 

◆廃業した店に入っていくスーザンとジョージが出合う。スーザンはそこで美容院をやろうとしている。
二人とも週末にエンダビー・ホールに行く予定で、スーザンは店に置くために応接間の孔雀石のテーブルを
欲しがっている。

 

◆スーザンによると、ロザムンドは何か悩んでいることがあるらしい。
スーザン曰く、ロザムンドはコーラのように、時おりとても鋭いことを言う。

第十七章

 

 シェーン夫妻が互いの浮気を疑いあう。
ロザムンドはこれからギルクリストに会って、コーラを殺したのが誰かを尋ねるつもりでいる。

第十八章

 

◆エンダビー・ホールに集まった親族一同にポアロが面会し、各人が殺人を犯す可能性について考える。
ジョージ:窮鼠猫を噛む式に人殺しをしそう
スーザン:自分の計画を進めるためなら平然と効率的に
グレゴリー:罰せられることを望む病的な性質を持っている
マイクル:野心家で虚栄心を持っている
ロザムンド:あまりに単純ゆえ、裏で何をしでかすか分からない
ティモシー:兄を憎み、嫉妬し、兄の権力にあこがれていた
モード:ティモシーのためなら何でもやりかねない
ギルクリスト:もし喫茶室を再開できるなら人殺しぐらいやるかもしれない
ヘレン:あまりに礼儀正しく、洗練され、殺人を犯すなど到底考えられない

 

◆スーザンの証言:
コーラは絵葉書を模写している。コーラが二、三年前に描いたポルフレクサンの風景画の
中にある波止場は、実際は戦時中に爆撃で崩壊している。コーラは現場でラフスケッチをして、
その後に自宅で絵葉書を見ながら絵を仕上げたのではないか。
・十章冒頭の着ぶくれした外国人はポアロ
ポアロがスーザンの店の計画について尋ね、彼女の事業の才覚に感心する。

 

ポアロがモードと話し、ギルクリストがひどく怯えていることを知る。

 

ポアロがギルクリストと、彼女の恐怖の根拠について話し合う。
ギルクリストが修道女のことを思い出す。

第十九章 

 

エンダビー・ホールの遺品の分配:
・スポード焼きのデザート・セットをめぐってティモシーとジョージが対立。
・シェーン夫妻とスーザンが孔雀石のテーブルを欲しがる。
・ギルクリストが、孔雀石のテーブルと蝋製の造花がぴったりだと褒めたが、誰も聞いていなかった。
ポアロの呼び水で修道女の話題
・鏡と実際の自分の姿の話題。場は明るくなったが、ヘレンだけが何か考え込んだ様子。
ポアロが探偵であることをロザムンドが見破る。

 第二十章

 

1.
正体を明かされたポアロが改めて自己紹介をする。

 

2.
事件のことで頭が混乱し、なかなか寝付けないポアロ
やがて眠りに落ち、事件に関する夢を見て、目が覚めたとき、彼は真相を理解したと思った。

 

3.
ヘレンが自室で鏡を見ながら、コーラに関してあることを思いつく。

 

4.

早朝、エントウィッスル宅にヘレンから電話。
電話の途中で、鈍い音とともにヘレンの言葉が途切れる。

第二十一章

 

1.
◆エントウィッスルがエンダビー・ホールにいるポアロに電話をかける。
ヘレンは意識不明で、重度の脳震盪。救急車で病院へ。
ポアロがエントウィッスルに、ベリーセントエドマンズのグレゴリーがいた精神病院に行き、
彼がどういう病状だったかを担当医に聞いて欲しいと頼む。
受話器を置いたポアロは、誰かが玄関脇の電話の受話器を下ろすかすかな音を聞く。
ポアロとエントウィッスルの電話を何者かが盗み聞きしていた)

 

ポアロは誰にも見つからないように屋敷を出て、1/4マイルほど離れた郵便局に行き、
再びエントウィッスルに電話をかける。ポアロはエントウィッスルに、ティモシーの家に行き、
“ある物”を持ち出して、それをロンドンのエルム・パーク・ガーデンズの“ある家”に
持っていってほしいと頼む。
ポアロは、ヘレンが鏡を見て何に気付いたかをすでに知っている。

 

2.
ティモシーを除く親族らで朝食。
ロザムンドがランズコムに、孔雀石のテーブルに置かれていた蝋製の造花がどこにあるかを尋ね、
マイクルと一緒に物置を見に行く。

 第二十二章

 

1.
午前11時、ポアロが家の人々を書斎に集め、リチャードが間違いなく病死であることを発表する。
ティモシーだけが、その事実を初めから信じていた。

 

2.
ポアロは四阿に座り、誰かが意を決して彼のところに来るのを待っている。
最初にギルクリストがやってきて、リチャードがコーラの家を訪ねた際に、
二人の会話を断片的に聞いてしまったことを告白する。
会話の内容は、リチャードが身の危険を感じていたことや、姪が企みに関わっている可能性についてなど。

 

3.
ギルクリストと入れ替わりにグレゴリーがやってきて、リチャードを殺したのは自分だと告白し、
自首することを表明する。

 

4.
グレッグが去った後にスーザンがやってくる。コーラ殺害時、スーザンはコーラの発言の
真意を確かめるためにコーラの家を訪ねていた。

 

5.
マイクルが別れの挨拶に来る。マイクルの浮気相手やコーラ殺害時にアリバイについて話す。

 第二十三章

 

1.
ポアロモートン警部が事件の調査内容について話し合う。
ある修道院長の証言:コーラが殺される前日、二人の修道女が彼女の家に行った。
当日、コーラはリチャードの葬儀、ギルクリストはボーンマスへ遠出していて家は留守のはずだったが、
修道女らは家の中から、ため息ともうめき声ともつかない声がするのを聞いた。

 

2.
庭にいるロザムンドにポアロが会いに行き、マイクルの浮気について、
またロザムンドがマイクルから浮気を疑われていることについて話す。
ポアロがロザムンドに、孔雀石のテーブルをスーザンに譲るよう進言。
・ロザムンドはいかがわしい存在のジョージを疑っている。

第二十四章 ポアロが犯人を指摘

 

1.
夕方、ポアロが電報を受け取り、モートン警部にも見せる。
ギルクリストは、ポアロにした話をモートンにも聞かせていた。

 

2.
ポアロが皆を応接間に集める。

 

◆ウェディング・ケーキを直接届けることができた人物:
ギルクリスト スーザン エントウィッスル ガスリー 寄付金集めに来た修道女

 

◆リチャード殺害疑惑はすべてコーラの口から出た言葉だけを根拠にしている。
間の悪いときに真実を話してしまうコーラの習性ゆえ、皆その言葉を信じてしまった。

 

◆コーラのことを良く知っている者は誰もいない。
・ランズコムは相当な歳で目も大分弱っている
・モードは自身の結婚式の際に二、三度会っただけ
・ヘレンは二十年以上コーラに会っていない

 

◆殺されたのはコーラだが、リチャードの葬儀に出席したのはコーラではなかった。
犯人は、コーラ殺害をリチャード殺害疑惑と結びつけて身内の犯行のように思わせることで、
同居の使用人が疑われなくなるように仕向けた。つまり犯人はギルクリスト。

 

◆その他の推理:
・ギルクリストは鏡の前で、コーラが首をかしげる癖を練習して身につけたが、
実際は反対側に首をかしげており、それがヘレンに違和感を抱かせた。
・ギルクリストはドア止めの大理石でヘレンを殴った。
・ギルクリストは修道女を暗示に利用。修道女に追い掛け回されている話をでっちあげ。

 

◆コーラのポルフレクサン波止場の絵を拭きとると、下からオリジナルの絵が現れた。
それがフェルメールの作品であることを保証するガスリーの電報をポアロが読み上げる。
それを聞いたギルクリストが犯行を自供し、モートン警部と共に退室する。

 

【犯行動機】
コーラが安く買い集めた絵の中に、フェルメールの作品が交ざっていた。
コーラはその事実に気付かなかったが、ギルクリストには分かった。
近いうちにコーラの友人の美術評論家がコーラ宅に来て絵を見る予定になっていたが、
その前にたまたまリチャードが病死したのを利用して、ギルクリストが犯罪計画を企てた。

 

ギルクリストは、かつてやっていた喫茶室を再開するための資金が欲しかった。
コーラのことを心底軽蔑していたので、殺すのに抵抗は無かった。

第二十五章

 

◆ギルクリストのミス:彼女は蝋製の造花が孔雀石のテーブルにぴったり合うと言ったが、
彼女がティモシー夫妻のお供でエンダビー・ホールに初めて来る前に、造花は片付けられていた。
→ギルクリストが造花を見たのは、コーラに変装してエンダビー・ホールに来たときだけ。

 

◆ロザムンドがハーレイ・ストリートやリージェント・パークに行ったのは妊娠しているから。
彼女は孔雀石のテーブルをスーザンに譲る。

 

◆ティモシーからポアロに感謝の手紙が送られる。

 

◆ヘレンには夫の死後、ある男との間にできた私生児がいて、キプロスで暮らしている。

 

ポアロが自室に戻ると、裁判から帰ってきたエントウィッスルが待っていた。
ギルクリストは死刑ではなく終身刑になりそう。

 

【作中の伏線について】

三章の叙述的伏線が有名だが、四章3節の“ザ・ラフ”のような地味な言葉遊びもある。
また、階級に基づく差別意識も伏線となっており、上流階級の人々が使用人の人となりに
なんら関心を持たないことや、俳優という職業を蔑視していることが、犯人を暗示している。

さらに五章2節、ジョージとエントウィッスルが交わした金の価値をめぐる会話や、
十六章でジョージが引用したアッピントンの健康塩の宣伝文句、
顔面を手斧で何度も殴打されたコーラの殺され方も、犯人を示す手掛かりと言える。
十二章で言及される『エッジウェア卿の死』で、本作と類似したトリックが用いられている。

 

とりあえず試行的にエントリを公開。

文字色をカラーコードで指定できなかったり、HTML編集で消せない文字があったりと、

はてなブログの仕様に不安があり、今後更新を続けられるかどうか分かりません。